スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:-- 】 | スポンサー広告 |
女の子
五歳の
子供が着るようなかわいい服を着て
おばあさんは歩いて行く

フリルのついた
短い
ふわふわのスカートの
裾を揺らして

くすり

曲がり角の向こうに消えた

本当に
おばあさんだったろうか
本当に
五歳だったら

おばあさんは
女の子だった

【2010/12/11 14:55 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
幽霊船
中央通りに座ったのは
自覚などなかったから

それは突然に始まって
感情を一気に異郷へと運ぶ
気づけば零れ落ちている

どこか遠いところに
遥か昔のある朝の中にいるような
気がするのだ

天空で父がピアノを弾いていて
食器が触れたりぶつかったりする音が
硝子の演奏会の中に含まれているような
心地がするのだ

目前にはひとつの船が浮び
繁殖する植物たちが帆を伸ばしている
船長のいなくなった船は航海を終え
旅人の空虚なある朝の中に
ぽっかりと浮ぶ

D 6 船を識別する白いシール

凍りついた波の上に
赤いストローが突き刺さっている


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/11/08 15:34 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
星をください  
気に入ったものの横には
星をつけておく癖があった

近頃は代わりに入ってくれと言われるよりも
代わりに入らせてと言われることが多くて
だんだんと痩せていくように
詩を書く時間だけ増えて
よいことなのかわるいことなのか
小さな明かりのようなものをたよりに
ふらふらと歩いていくのだけれど
たよりは突然途絶えてしまうから
たよりないたより

ツイッターやっているんですか?

はあ
日本語で話しているのに
検索されないアカウントならあります
やっているって 何が (わたしたちつきあってる)

みんな知らないんだね
何も

僕は何もしていないんだよ

忘れかけていた
アルバムを開いてみると
ところどころに星が散っているけれど
それは今の僕の好みとは少し離れている
一つ一つ聴いていく中に
思いっ切りボリュームを上げたい奴
その横には 星が
ない

どうして

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/11/05 19:25 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
半袖
半袖を着て歩くと肌寒い夜だった。寒いと感じられることがうれしくて、寒い、寒い、と連呼したくなるほど。長く続いた厳しすぎた夏によって遠ざけられていた寒いが、ここにも、そこにも現れて肌にくっついている。寒い。もう一度、寒い。あの夏との断絶を告げる、寒い。もう、本当に大丈夫なのだ。これからは、日増しに遠ざかってゆくことができる。寒い、寒い。もう一度、寒い。寒いによって確かになっていく決別の事実が、うれしくこみ上げてきては震えてしまう。朝も、昼も、夜も、どこに行っても、どこに逃げても、容赦なく襲ってくる熱は、もう遠くへと去り、これはからゆっくりと肌を包むものが増えてゆくだろう。自分からあたたかさを望むようになるだろう。寒い、寒い。もう一度、寒い。少し寒いけれど、もう少し、寒い半袖でいる。

【2010/11/04 03:19 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
サンキュー(サンキュー)
生きててすみません
俊敏な肢体の中にひっそりと
入り込んで
円滑な流れを壊さぬように
ただ必死で
追いかけて追いかけるけど
あと一歩 体が追いつけなくて
ああ
惨敗を負ってベンチにへこたれる

「あのチーム余裕だな」
「あそこは一番うまいよ」
「俺のチームは一番弱いぜ」
「それを言うなって」
「あいつ、全然動かないからな」
「まあまあ動いてたよ」
「えーっ、あれで」

背中に降りかかる言葉
振り返ることはできなくて
ただ へこたれている
(生きててすみません)
いや なぜ どうして
謝らなければならない
謝ってたまるものか
そうじゃないのだ
僕のしたいのは

キックオフ

ボールを受けた僕は
フリーで中央をドリブルで上がる
敵が近づいてくる
僕がいつまでも離さないのを見て
猛然と奪いにくる
精一杯の加速で一瞬かわす
それで精一杯
その時
前方に希望の光が射し込むのが見えた
味方の選手が
僕の前に走り込んでいるのだ
サンキュー
奪い取られてしまう前に
一筋のパスを 僕は通した

「ナイスパス!」

背中から 大きな声がした


サンキュー

(サンキュー)


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/10/30 10:20 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
眠る影
日曜は静かに人間シュレッダー
指先の感覚がなくなるまで
こんなものはいりませんね

夕べはドーンと音がして
階段の上から灰皿が降ってきて
3人の男の影絵が始まった

脚を伸ばし横たわる老人
途方に暮れる男
持ち手のない台車を運んできた男
毛布を載せて
ごろん
老人を転がす

すみかの前
ヤモリのように手を動かして
潜り込もうとするが
顎が
越えられない僅かな段差
手足だけは泳いでいるのに
家路を急ぐヤモリのように
進まない

がんばって

ダンサーはささやくように
エールをおくり肢体を支える
ゆっくりと腰を痛めながら
支えていた

老人の手足は
ゼンマイの切れたヤモリのように
減速して
眠ってしまった

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/10/26 01:15 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
オレンジ
新しい匂いが欲しくてオレンジになった
なのにあの人もこの人もみんなオレンジ
息が合ってうれしいようなぶつかってかなしいような

オレンジになってなおのことオレンジを探している
カード、チケット、チラシ、パンフの中の女の子
僕らはみんなオレンジで休憩に行く人も買物に行く人も
みんなみんなオレンジ
誰か一人が番をして誰であろうとやはりオレンジ

汗の匂いがやってきて少し人を思い出す
匂いの元がいってからも匂いはまだ停滞している
ゆっくりオレンジが回復する

晴れてるねと話しをすれば
オレンジが天気図の話をし始めて
オレンジはもう逃げ出したくなった

誰かがお金をなくしてずっと捜している
背中にオレンジが貼り付いて代わる代わる急かし立てる
ねえねえまだかい
少し手荒い真似もして秩序を守る柑橘系オレンジ軍団

オレンジは実るとオレンジ色になります
雨が降って少しずつ落ちていきます

ねえねえまだかい
こっちは中に生クリームがたっぷり
こっちは生地だけ 上にイチゴが載っています
どっちもおいしいけどどっちにする
うーん迷うな
私が食べるわけではないけど
といっているうちに暮れていくオレンジ

夜がきた
トマトがやってきた

あの人だけいつもトマト


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/10/21 07:55 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
古傘
突然の雨に傘を盗んだ。粗大ゴミと一緒に置いてあったビニール傘は、広げると骨に異常は見当たらなかったけれど、上面の部分に2、3ヶ所ガムテープで補強した跡があった。水は漏れなかった。透明なため、閉じても補強テープが透けて見える。端の座席に腰掛けて、手すりに掛けていた傘を、到着駅に着いた時、忘れずに自分の傘のように持って降りてきた。階段を上がると雨は上がっていて、閉じたままの傘を持って歩いた。目的地に着いた時、傘立てに入れる時まで、その時までの自分の傘だった。チラシを手にした男が、3人連れの男女に渡そうとして避けられていた。その後を続いて、盗人が通る。左手は開いていたけれど、酒を飲むような風情にも見えなかったのか、男は透明な通行人を見送るように傍観の姿勢を保ったままだった。持ち主は、今頃雨降りの街のどこかで、新しい傘と歩いているのだろうか。


【2010/10/20 02:51 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
シンデレラガール
 呼ばれて行ったのでは遅くなる。女は言った。
 走ってそこに向かうまでに、自販機の中で値上げが完了して、お客様の用意した300円では足りなくなる。そうなってしまうとこちら側の責任だし、お客様に申し訳ないことになってしまうから。だから、あの場所に常駐し、お客様が訪れた際には、すぐにタスポを差し出せるように備えておくべきです。あの時計は、合っているのだろうか、と言って彼女は壁の方を振り返った。
「何人くらい駆け込んでくるでしょう?」
「2、3人ではないですか」誰かが控え目に答えた。
「誰か、あそこで待ちたい人はいますか?」
 誰も名乗り出る者はいない。
 5分前になり、彼女は自販機の前にいた。誰かがやってくるという気配はまるでなかった。落ち着かない様子で、彼女は自販機の前を行ったり来たりした。確認のためにと100円玉を入れた。1枚、2枚、3枚……。コインは自販機の中を通過して、返却口に落ちてゆく。既に自販機は口を閉ざしたまま、密やかな激しさで生まれ変わるための準備に入っていた。ひとつの試みを受け入れる暇はなかった。誰かが携帯電話を開いてカウンターの上で鳴らしていた。
「午前零時をお知らせします。ピーン!」
 そうして日付が切り替わった。
「おめでとうございます」
「おめでとうございます」
 誰かが言って、誰かが答えた。
「もういいですよ。大げさなことは」
 誰かが言って、携帯電話を閉じた。

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/10/15 20:23 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
切り抜き
「あなたは隅っこが好きだったものね
隅っこを取っても負ける時は負けるのよ」
勝ち負けなんて僕は
振り返ると彼女はまだ紙上にいた

勝ち負けなんて僕は
眠っているのが好きなだけです
読み手のない手紙が
繰り返し書かれるばかりの日々
なんか意味ないの

再び振り返った時
もうそこは切り取られたあとだった
何があったか思い出せない空

見つめている向こう側から
猫が顔を出した

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/10/07 18:17 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
大阪LOVER
やんけー
われー
そやんけー

ここで食べられるのは
カレーライス
高菜ピラフ
チャーハン
焼きそばです
たこ焼きはありません

ないやんけー

大阪の歌が 夜通し回っている

ウォーリーはラーメン屋に行く
と言って
出て行く

ええねん

昨日のメニューを拭き消したあと
一週間のメニューがどこかに
持ち去られていたので
ブラックボードに
明日の
日付だけを書いた
あとはまっくら

悲しい色やね

ふらふらの女が
荷物だけ預けて
ぼろぼろ
分解された煙草を落としながら
出て行った

大阪で生まれた女

少し前はジャズ
この前はスティービーワンダー
だんだんと進化して

大阪

やっぱ 好きやねん

赤ポロの男
大きな看板を積んで
自転車に乗って世界の果てまで
立てに行く

バーン

夜を突き破る銃声
誰かが
玄関に靴を叩きつけるように置いたのだ

靴やんけー

やんけーやんけーやんけー
またはじまってしまう
なんちゅう歌

ほんまにうち寂しかったんよ

ウォーリーが
カップラーメンをいっぱい
抱えて帰ってきた

ええやんけー


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/10/06 20:36 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
夏休み女
女の伸びた髪が
伸びて伸びてソファーになった
女は座ってゆっくりとした

ソファーを抱えた身になって
どこへ出かけても
いつでも女は楽な姿勢になれた
やがて髪は
伸びて伸びてソファーも伸びた

 お酒は飲めるの?
 うん サイダー
 サイダーを何で割るの?
 サイダーをサイダーで割るの
 じゃあ今度飲みに行こうか
 うん 行けたら行くよ

こらーっ! あんたら ここはコンビニ前じゃない!

女は酒の話を切った
他人のソファーに断りもなく座り
だらだらしているのが許せなかった

女はソファーと共に出かけ
ソファーと共に帰宅した
歩きながら座り 座りながら歩き
歩くことと座ることは結ばれて一つになった

髪は伸びて伸びてソファーも伸びて伸びた

 この前も逆転勝ちしたよ
 そうなの?
 そうなのよ 聞いてよ
 どうだったの?
 先に点を取られてねリードされたのよ
 うんうん
 それでね 最後は勝ったのよ!
 うそー すごいね!
 ほんと すごいよね!

野球の話は尽きなかった
女はかまわなかった
聞くともなしに聞いていた

髪は伸びて伸びてソファーも伸びて伸びて伸びた

 ずっと見続けていたのに
 最終回だけ見逃してしまったの
 というか寝過ごしてしまったのね
 意味ないでしょ
 お母さんを殺そうと思ったの
 だって二度と見られないのよ!
 最終回の人々の生き様って大事じゃない
 絶対見届けないといけないでしょ
 でも それって本末転倒じゃない
 ドラマはドラマでしょ
 でも最終回だよ
 
最終回の話は尽きなかった
女は口を挟まなかった
聞くともなく聞いている内に眠ってしまった
くたびれた時 女はいつでも休むことができた
女の傍でくたびれた人が大勢眠っていることもあった
髪が伸びて伸びて伸びて
女のソファーは余裕に満ちていたから

 グリップのところって
 インクが見えなくて不気味だよな
 ちょうど罪人が目隠しをされて
 最後のステップに足をかけているような感じ
 そんな悲観的なものかよ
 わからないからいいということもあるじゃないか
 曖昧な希望のような
 意外にそれはなくならないんだよ
 切れたと思ったらまた復活したりね
 そうそう 蛍光灯みたいな
 はい

話は尽きなかった
人々の中で
感謝を持って座っている者は誰もいなかった
ソファーが
女の髪の一部だということなど誰も知らず
話に夢中で
ただ

夏の終わりに 女は髪を切ってしまった
スポーツの秋
そう言って歩き出したという話だ


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/09/29 23:17 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
おや
鉢植えの花の周りを
蝶はよろこんで舞っている

「ありがとう」

「あなたの季語は?」
白い蝶は突然の問いかけに驚いて
飛び回った
花の周りを舞いながら
「私ってなんだっけ? なんだっけ?」

もう一度気を取り直して
「ありがとう 育ててくれて」

「いえいえ こちらこそ」
花は赤く微笑み返した
「ありがとう 来てくれて」

ゆっくり 遊んでいって

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/09/18 00:02 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
あっち向いてホイ
一本の矢印はとても弱い

別々の方向から

二本三本集まってきて

一つの思い出をさした時

胸の真ん中からあふれてしまう

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

【2010/09/17 23:45 】 | だいたい5行詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
焼きそば
思いのほか人が多くて
引き返した
雨の日だから
混んでいるという店もある

職場の隣まで帰ってきた
「1時には戻らないといけないが」
10分で焼きそばを食べさせてほしいと言えば
主人は首を振った

誰もいない店
ザーーー
鉄板で焼かれるように
雨が降っている

「僕は何も言いません。一日中黙っていることもあります」

「黙り込む相手がいるの?」

「いたこともありました」

すると御上さんは泣き出した

雨に呑み込まれながら
僕は10分間そのままにしている

テーマ: - ジャンル:小説・文学

【2010/09/17 23:09 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
前ページ | ホーム | 次ページ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。