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駆け上がる少女
少女は人波に逆らって
一人階段を駆け上った

「すみません!」
叫ぶような声と共に駆け上がった

一体何があったのか

階段を下る人波は突如停滞し始める
工事中の道路のように
雨の夜のように
交通整理の旗はなくても
道は右に細くなった

階段の真下には
スーツの男が額から血を流し
気絶するように倒れていた

一人の男が頭を抱えながら
ティッシュで血をぬぐってる

「頭は動かさない方がいいですよ」
1メートル先の男が助言を投げる

誰かが誰かに質問すると
「もう呼びにいってます」
メガネの女が冷静に答える

ある者は鞄を開けて
ポケットティッシュを足し渡そうと
そうだ私も確かにそれくらいなら…

みんな優しい人たちだ
この街の人々は本当は優しいのだ
単なる野次馬とは違う
みんなそれぞれに自分の役目を探している

スーツの男はちゃんと息をしていた
血だってもう噴出すほどじゃない

下りの電車が入ってくると
誰かがまた車掌に報告に走っている

私は電車に乗って家路へ向かおうか
ここに残って結末を見守ろうか

私にできることはもはや何もない
きっともう何もない

幸運な男はみんなの優しさに囲まれて
きっと助かるだろう
男が何者なのかどんな過去を生きてきたのか
誰も何も知らないけれど

制服の少女は人波に逆らって
階段を駆け上った

叫ぶように声をあげて
工事現場を飛び越えて

一体何があったのか
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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2006/05/25 18:55 】 | 好きに書いた詩 | コメント(2) | トラックバック(1) |
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コメント

考えさせられる詩ですね。…この街の人々は本当は優しいのだ…、きっとそのとおりなのでしょう。その優しさをいつも表すことができたなら、もっと素敵な世の中になるのかな。

実は、先日僕も事件に遭遇しました。同じように血を流している人がいて…。しかし、それは実の肉親に傷つけられたものでした。そんなこともあって、この詩に反応してしまいました。
ほんとうは優しいはずなのに、恐ろしい存在にもなりうる「人間」。
思わず自分自身を見つめ直させられます。
【2006/05/27 08:25】| URL | 銀河ステーション #teGbE6cI[ 編集] |
ありがとうございます
銀河ステーションさん、コメントありがとうございます。

危機的状況の中で人の優しさに触れられることがありますね。

本当は、多くの人は優しいところを持っているのだと思います。
けれども、いつもそうでいられるわけではないし、そうでない人もいるのでしょう。
種々の背景や集団心理によって歪められたり、豹変したり…
一杯の酒を含むだけで、鬼のようになってしまう人もいますね^^;
人間の行動範囲は、優しい方向にも恐ろしい方向にも限りがないように思えます。
【2006/05/27 08:53】| URL | junsora #H8Em3lUo[ 編集] |
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