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短距離走
短距離のスタートを切るのは初めてだった。
スタートラインには金属の装置があり、それを足に装着しなければならない。
わからないなりに、なんとか装着してみるが、これでスタートが速くなるのだろうか?

短距離の選手に推薦されたのは、突然のことだった。
他に推薦されるものもなく、代表選手になった。
それまで何の実績もなかったので、驚いた。
隠された実力に、何人かの者が気づいたのだろうか、推薦した人の顔は見えなかったけれど、そう考えれば少しうれしかった。

用意と言われるままに用意した。初めての用意だった。
銃声を聞いてスタートを切った。みんな横並びだ。大丈夫、走れる……。
そう思ったのは、10メートルか、5メートルまでだったか。
突然に、置いていかれるのを感じた。まるで仲間はずれにされるようだった。
いやだ! 絶対に。 こんなのは、いやだ!
走るために選ばれた者たちに、自分一人が離されていく。
いやだ! 本気を出すんだ!
これまでにない力を出した。自分以上の自分を出そうとした。
その瞬間、足がおかしくなって、転んだ。転んで、起きて、また走った。
走る理由もわからず、走った。
誰もいなくなったゴールにたどり着くと、先生と競技委員の人たちが拍手で迎えてくれた。
悪気のない音が容赦なく突き刺さってきて、全身の力が抜けていった。
どこか遠い場所からかつてないほど大きな後悔の波が、幾つも幾つも押し寄せてきた。
抗いようもない、波だった。

あれは、何距離走だったろうか……。
あの時、なぜ僕は走ったのだろう? 
そして、泣いたのだろう?
短いような、長いような、距離だった。


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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2008/09/12 18:38 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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