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夢の中の人々
風邪をこじらせて数分間休む。
数分間休んだくらいではなかなか回復しない。
できれば豊かな国の夏休みくらい休みたいのだが、あまり休んでいるとみんなから忘れられてしまうのが怖い。
けれども、もうとっくに忘れられていることを、うっかり忘れているのだからやはり少し頭がおかしい。
風邪をひいた時くらいしか休めないのだから、ゆっくり休んだ方がいいのだ。
そう思って眠る。眠るとへんな夢を見る。
世界中から激励のメールが届く。
というのは、夢だった。代わりにへんなメールが届く。
どうやらこっちが現実らしい……。
現実が煙たくて眠ることにする。眠るとへんな夢を見る。


  *

家の庭で花火大会が開かれることになった。
すると家に脅迫状が届いた。
「どこへ逃げても逃げ場はないぞ」
花火大会を火の海にするというのだ。
けれども、みんなが楽しみにしているので中止にはできなかった。

花火大会の夜。
警戒しながら花火を楽しんでいると、コウモリがやってきた。
キーキーと攻撃を仕掛けてくる。
やっつけようとすると、祖母に怒られる。
「コウモリをこんなに攻撃的にさせたのは誰だろうね」
コウモリにしてみれば、どんなに恐ろしかったことか。
人間の腕の一つがどれほど巨大なものであったか。
さんざんと説教されて、コウモリは悪くなかったと反省する。

透明な液体の入った瓶が発見される。
「こんなものはなかったはずだぞ」
すぐさま110番する。
脅迫状が届いたところから説明するので時間がかかる。
瓶の発見まで及んだところで息が苦しくなり、声が出なくなった。
母は、ただ小さく固まって動けない。
父は、透明な液体の入った瓶を開けてしまった。
冷静さを欠いた身勝手な行動である。

透明な液体の入った瓶に、危険性は認められなかった。
留守中の姉が、植物を育てるために用意した水だったからである。
「こうして入れておくと、いつでも水をあげれるでしょう」
花火大会は何事もなく終わった。

刃物を持った男が家に入って来そうだ。
鍵をかけようとしたが間に合わなかった。
男は普通の顔をして、ずかずかと入ってきた。
開き戸を外して咄嗟に立ち向かう。
突っ込んで来れば、開き戸で叩きのめしてやるつもりだった。
男は、突っ込んでは来なかった。適当に距離を置いて構えている。
開き戸を持って追いかけても、かわされてしまう。
開き戸は、重かった。持ち続けているだけでも、体力を使う。
どうしたものか。
あの男が、脅迫状を書いたのだろうか?

  *


夢に明確な答えを求めるのは、間違っている。
夢は、夢なのだから。
夢の中では、現実離れした恐ろしいことが起こったり、時に恐ろしいほどリアルだったりする。
夢は、旅のようだ。

戻ってきても、しばらく旅の続きを引きずっている。
旅の中では、懐かしい人たちとたくさん出逢う。


風邪をこじらせて、休みながら旅をした。
そろそろ自分の居場所に戻らなければ。
果たしてそれはどこにあったのか。
どこにもなかったのか……。

それならそれでどうすればいいのか。

これから、作っていくことができるだろうか。


旅の終わりは、いつも戸惑いにあふれている。



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テーマ:恋愛詩 - ジャンル:小説・文学

【2008/09/02 18:39 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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