|
夜が目覚める頃、加藤くんは起きました。 ぐっすりと眠ったので、一つの夢のことも思い出せませんでした。 もう一生眠らなくてもいいかもしれません。 顔を洗って、バイトに出かけていきました。
「お弁当は温めますか?」 いつものように、お決まりの質問をします。
「もう、いいです……」 何かをあきらめたような、返事でした。 とても小さな声で、語尾はほとんど聞き取れないほどでした。
加藤君も、似たような気持ちになりました。 何かをあきらめたような…… 人の気持ちは、よく移るものです。 あれほど眠ったというのに、もう布団の中に隠れこみたい気分でした。
「もう帰ってもいいですか?」 そう言うと、店長はとても残念そうな顔をしています。 悲しみの鬼が、どんどん移っていくようでした。
|