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どこにもかえれない
少し前は山田だった
最近は山本であることが多い

カブトムシが戯れるような字で
住所を書き始める

どうせそれも
デタラメかもしれないが
それでもここに泊まることはできるし
そうして彼は
毎日を生きているのだ

一桁足りないような電話番号を書き終えると
投げ出すようにして、前金を置いた





自動扉が開くと少しだけ鈴虫の鳴き声がする

若い女が
ゆっくりと入ってくると
一泊する料金やチェックアウトの時間を訊いた

納得するとフロントに立ち
丁寧に自分の名前を書き始めた

まだ10代にも見える
女は
しっかりとした字で
名前を書き終えて
住所を書こうとしたところで
急に動きを止めた

まるで
遠いところにある何かを思い出したように


「やっぱり……
 やめておきます」

一文字も書かずに、ペンを置いた


謝りながら彼女は出て行った



 (かえればいい きっとまだかえれるうちに)





すれ違うように入り込んできた風が
コロコロとペンを転がした

空欄の住所が
舞い上がり
ひらひらと揺れ動いている







 (バイバイ)



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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/12/11 18:11 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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