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昭和喫茶
カランコロン


重たいドアが
新しい訪問者の到来を
大げさに祝福する

窓一つない
完全に閉ざされた世界で
開くべき小説は何もない

アイスティーの中に
ぎっしりと散りばめられた
冷たい結晶と戯れながら
ガラスの向こう側
小さな生き物を眺める

水槽の中には
マンモスの歯や
恐竜の骨が敷き詰められていて
たった一匹の薄いお魚は
雪のように降りしきるポップコーンを
飢えたパックマンのように吸い込みながら
泳いでいる


延々と流れる
昭和の時代の演歌が
別れを
寡婦を
夜汽車を歌い
時折り旋律を止めて
ひとり静かに語り始める

雨を思わせるのは
ずっと流れっぱなしの水道の音
それとも
ポテトチップを揚げている音


ウェイトレスのお婆さんは
カウンターの常連客とママの話に
時々相槌を打つ
打ち疲れると腰に手を当て
シャツを直したり
意味もなく店を出入りしたりする


カランコロン

カランコロン

きっと
その厚いドアが一番憶えているのは
お婆さんの感触だ




「お待ちどうさま」

お婆さんが
テーブルを間違えた
と思ったら
遠くでママがサービスだと言っている

サンドイッチが
思いの他おいしかったのは
頂き物だったからかも知れない


また一人の歌い手が
壮大な恋の終わりを歌い終えた

三秒空いて流れてきた
三味線のイントロに
なぜか引き止められそう


「ありがとう」

小銭を手渡しながら
微笑んだママの顔は
どこかで見たことがあるような気がした




カランコロン




太陽が待っていた



まだ

夏らしい

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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/12/08 09:35 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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