スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:-- 】 | スポンサー広告 |
パトリックさんにクーポン券を
パトリックさんは2メートルもあって、
まるで高い壁を見上げるように、
僕はパトリックさんに礼を言った。

パトリックさんは外国人だから、
クーポン券は渡さなかった。

友達の女性は日本人で、
荷物の引渡しを待ちながら、
手の上でクーポン券を眺めている。

「もらった?」

そう言って、楽しそうにパトリックさんの方を見た。
パトリックさんの顔に、不思議の欠片が浮かぶのを見て、
僕は大慌てで、
パトリックさんにも、クーポン券を手渡した。

「ありがとうございます!」

パトリックさんは笑顔になった。
パトリックさんは、ラリー会員だし、
日本語もとても上手い。

「ありがとうございました!」

僕は普通のことをして、良いことをした気分になって、
パトリックさんとその友達を見送った。


続いて、大食漢がフロントにやって来た。
彼もまた外国人で、
だから僕は、クーポン券は渡さなかった。
店の入り口付近で、
彼がパトリックさんたちと合流するのを、見るまでは……。

僕は走って行って、
大食漢にクーポン券を手渡した。

「ありがとう!」

彼も、やはり日本語で礼を言った。
随分忘れっぽい店員だと、思われたかもしれない。




「差別と区別は違うんだぞ……」

昔、
担任の先生が自信満々に言っていた言葉、
まるで意味がわからなかったけれど、
未だに、わからない。

誰にも寂しい思いをさせず、
平等にプレゼントを贈ることが、
僕らにできるだろうか……。

外と内を隔てる、
人の作った寂しい境界を、
僕らはいつになったら、
越えられるだろうか……。

案外、それは数センチばかりの
低い壁かもしれない。

天井に届きそうな、
パトリックさんの頭を見上げながら、
僕の手の中では、
8月のクーポン券が、
次に渡すべき相手を探していた。
スポンサーサイト

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/08/15 16:03 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
<<お墓参り | ホーム | 魚と誕生日ごっこ>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://junsora02.blog59.fc2.com/tb.php/410-beb30b78
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。