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告白
隅っこが好きだ。
両隣に人がいると、少し落ち着かない。
幸い、現住所は始発駅。
僕の座る席は、だいたい決まっている。

最初はガラガラの車内も、一駅毎に老若男女を飲み込む。
何時しか吊革には、大勢の人が下がり始める。
ドアが開き、また何人かの人が、
そして、一人のお婆さんが僕の斜めに……。

良いことをするのは、勇気がいる。
まるで、初めて告白する時のように。
(それが良くないことである可能性も少し考えて

急に鼓動は高まり、胸が苦しくなる。
(お婆さんだろうか、
(この人、
(本当に、本当にお婆さんだろうか?

その瞬間に集中して、僕はお婆さんを確認する。
白髪で、メガネを掛けたちょっと小柄なお婆さん。
(お婆さんだ、
(大丈夫、お婆さんだ。
(僕の目に狂いはない。
(僕は、伝えられる。

 「どうぞ……」
 スッと席を立ちながら、小声でつぶやく。

 「ありがとう!」
 意外に大きな声で、返事が返ってきた。

みんなの前で礼を言われて、僕は少し恥ずかしかった。
お婆さんに背を向け二、三歩だけ歩き、車内の真ん中に立っていた。
少し揺れて、少し足が震える。
携帯を開いて、見知らぬ誰かの詩に関心を向けている振りをする。
谷町九丁目。
次の駅で、僕はもうお別れだ。
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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/07/24 21:47 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
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コメント

お久しぶりです。
言葉を読んで思わず笑んだのも久しぶりです。(笑

「僕」の気持ちがよくわかります。
あぁ、そうだよな。って思いながら読み進めていって
最後の二行。
とても好きな結び方です。
【2007/07/25 15:30】| URL | チエノワ #z0Dn2JLk[ 編集] |

チエノワさん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。

「僕」にとっては、案外一大事だったのかもしれません(笑)
それをできるだけ何事もなかったように、行いたい……
そんな様子が見受けられます。
もしも、隅っこでなくて真ん中の席に座っていたら、
同じようにできたのだろうか?
そんな心配もしてしまいます。
最後、「僕」は、
早くそこから逃げ出したかったのかもしれません。
【2007/07/25 19:08】| URL | junsora #H8Em3lUo[ 編集] |
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