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サンキュー(サンキュー)
生きててすみません
俊敏な肢体の中にひっそりと
入り込んで
円滑な流れを壊さぬように
ただ必死で
追いかけて追いかけるけど
あと一歩 体が追いつけなくて
ああ
惨敗を負ってベンチにへこたれる

「あのチーム余裕だな」
「あそこは一番うまいよ」
「俺のチームは一番弱いぜ」
「それを言うなって」
「あいつ、全然動かないからな」
「まあまあ動いてたよ」
「えーっ、あれで」

背中に降りかかる言葉
振り返ることはできなくて
ただ へこたれている
(生きててすみません)
いや なぜ どうして
謝らなければならない
謝ってたまるものか
そうじゃないのだ
僕のしたいのは

キックオフ

ボールを受けた僕は
フリーで中央をドリブルで上がる
敵が近づいてくる
僕がいつまでも離さないのを見て
猛然と奪いにくる
精一杯の加速で一瞬かわす
それで精一杯
その時
前方に希望の光が射し込むのが見えた
味方の選手が
僕の前に走り込んでいるのだ
サンキュー
奪い取られてしまう前に
一筋のパスを 僕は通した

「ナイスパス!」

背中から 大きな声がした


サンキュー

(サンキュー)


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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/10/30 10:20 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
眠る影
日曜は静かに人間シュレッダー
指先の感覚がなくなるまで
こんなものはいりませんね

夕べはドーンと音がして
階段の上から灰皿が降ってきて
3人の男の影絵が始まった

脚を伸ばし横たわる老人
途方に暮れる男
持ち手のない台車を運んできた男
毛布を載せて
ごろん
老人を転がす

すみかの前
ヤモリのように手を動かして
潜り込もうとするが
顎が
越えられない僅かな段差
手足だけは泳いでいるのに
家路を急ぐヤモリのように
進まない

がんばって

ダンサーはささやくように
エールをおくり肢体を支える
ゆっくりと腰を痛めながら
支えていた

老人の手足は
ゼンマイの切れたヤモリのように
減速して
眠ってしまった

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【2010/10/26 01:15 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
オレンジ
新しい匂いが欲しくてオレンジになった
なのにあの人もこの人もみんなオレンジ
息が合ってうれしいようなぶつかってかなしいような

オレンジになってなおのことオレンジを探している
カード、チケット、チラシ、パンフの中の女の子
僕らはみんなオレンジで休憩に行く人も買物に行く人も
みんなみんなオレンジ
誰か一人が番をして誰であろうとやはりオレンジ

汗の匂いがやってきて少し人を思い出す
匂いの元がいってからも匂いはまだ停滞している
ゆっくりオレンジが回復する

晴れてるねと話しをすれば
オレンジが天気図の話をし始めて
オレンジはもう逃げ出したくなった

誰かがお金をなくしてずっと捜している
背中にオレンジが貼り付いて代わる代わる急かし立てる
ねえねえまだかい
少し手荒い真似もして秩序を守る柑橘系オレンジ軍団

オレンジは実るとオレンジ色になります
雨が降って少しずつ落ちていきます

ねえねえまだかい
こっちは中に生クリームがたっぷり
こっちは生地だけ 上にイチゴが載っています
どっちもおいしいけどどっちにする
うーん迷うな
私が食べるわけではないけど
といっているうちに暮れていくオレンジ

夜がきた
トマトがやってきた

あの人だけいつもトマト


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【2010/10/21 07:55 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
古傘
突然の雨に傘を盗んだ。粗大ゴミと一緒に置いてあったビニール傘は、広げると骨に異常は見当たらなかったけれど、上面の部分に2、3ヶ所ガムテープで補強した跡があった。水は漏れなかった。透明なため、閉じても補強テープが透けて見える。端の座席に腰掛けて、手すりに掛けていた傘を、到着駅に着いた時、忘れずに自分の傘のように持って降りてきた。階段を上がると雨は上がっていて、閉じたままの傘を持って歩いた。目的地に着いた時、傘立てに入れる時まで、その時までの自分の傘だった。チラシを手にした男が、3人連れの男女に渡そうとして避けられていた。その後を続いて、盗人が通る。左手は開いていたけれど、酒を飲むような風情にも見えなかったのか、男は透明な通行人を見送るように傍観の姿勢を保ったままだった。持ち主は、今頃雨降りの街のどこかで、新しい傘と歩いているのだろうか。


【2010/10/20 02:51 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
シンデレラガール
 呼ばれて行ったのでは遅くなる。女は言った。
 走ってそこに向かうまでに、自販機の中で値上げが完了して、お客様の用意した300円では足りなくなる。そうなってしまうとこちら側の責任だし、お客様に申し訳ないことになってしまうから。だから、あの場所に常駐し、お客様が訪れた際には、すぐにタスポを差し出せるように備えておくべきです。あの時計は、合っているのだろうか、と言って彼女は壁の方を振り返った。
「何人くらい駆け込んでくるでしょう?」
「2、3人ではないですか」誰かが控え目に答えた。
「誰か、あそこで待ちたい人はいますか?」
 誰も名乗り出る者はいない。
 5分前になり、彼女は自販機の前にいた。誰かがやってくるという気配はまるでなかった。落ち着かない様子で、彼女は自販機の前を行ったり来たりした。確認のためにと100円玉を入れた。1枚、2枚、3枚……。コインは自販機の中を通過して、返却口に落ちてゆく。既に自販機は口を閉ざしたまま、密やかな激しさで生まれ変わるための準備に入っていた。ひとつの試みを受け入れる暇はなかった。誰かが携帯電話を開いてカウンターの上で鳴らしていた。
「午前零時をお知らせします。ピーン!」
 そうして日付が切り替わった。
「おめでとうございます」
「おめでとうございます」
 誰かが言って、誰かが答えた。
「もういいですよ。大げさなことは」
 誰かが言って、携帯電話を閉じた。

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【2010/10/15 20:23 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
切り抜き
「あなたは隅っこが好きだったものね
隅っこを取っても負ける時は負けるのよ」
勝ち負けなんて僕は
振り返ると彼女はまだ紙上にいた

勝ち負けなんて僕は
眠っているのが好きなだけです
読み手のない手紙が
繰り返し書かれるばかりの日々
なんか意味ないの

再び振り返った時
もうそこは切り取られたあとだった
何があったか思い出せない空

見つめている向こう側から
猫が顔を出した

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【2010/10/07 18:17 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
大阪LOVER
やんけー
われー
そやんけー

ここで食べられるのは
カレーライス
高菜ピラフ
チャーハン
焼きそばです
たこ焼きはありません

ないやんけー

大阪の歌が 夜通し回っている

ウォーリーはラーメン屋に行く
と言って
出て行く

ええねん

昨日のメニューを拭き消したあと
一週間のメニューがどこかに
持ち去られていたので
ブラックボードに
明日の
日付だけを書いた
あとはまっくら

悲しい色やね

ふらふらの女が
荷物だけ預けて
ぼろぼろ
分解された煙草を落としながら
出て行った

大阪で生まれた女

少し前はジャズ
この前はスティービーワンダー
だんだんと進化して

大阪

やっぱ 好きやねん

赤ポロの男
大きな看板を積んで
自転車に乗って世界の果てまで
立てに行く

バーン

夜を突き破る銃声
誰かが
玄関に靴を叩きつけるように置いたのだ

靴やんけー

やんけーやんけーやんけー
またはじまってしまう
なんちゅう歌

ほんまにうち寂しかったんよ

ウォーリーが
カップラーメンをいっぱい
抱えて帰ってきた

ええやんけー


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【2010/10/06 20:36 】 | 言葉のある詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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