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ヒッチハイク
お金がないのでヒッチハイクをした。
ドライバーと助手の間に、縮こまって座った。
「今日は、よろしくお願いします」
知らない町まで連れて行ってもらう。

タンスが重い。
落としてはいけないと思いながらも手が、滑る。
ドライバーの頭に、ゴツン。
「殺すぞ!」
発声と同時に、体の中心を蹴られて、言葉を失う。

お金がないので、がんまんをしてヒッチハイクをした。
夕暮れ、知らない町で降ろされる。
ありがとう。なんて、言わない。
歩いていけば、どこかに駅があるだろか……。

誰にも訊かずに、歩く。
優しい言葉を聞いたら、泣いてしまうだろう。
知らない町の、知らない人の言葉で、きっと。

車に、靴を忘れたことを思い出す。
逃げるように、降りてきたのだ。
早くひとりの自分に、戻りたかったのだ。

知らない町にも、夜が、きた。
知らない町の明かりは淡く、優しい色だった。

ゴツン……
ドライバーの頭で
何度も、タンスが鳴っている。

殺すぞ、
言葉はまだ突き刺さったまま
離れないでいる。

駅はこっちだろうか

本当に、こっだろうか


僕は

優しい人になりたかった


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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2008/10/15 19:02 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
架空友達
友達から電話がかかってくる。
久しぶりに話すのでどう話していいか、わからなかった。
声が詰まったり裏返ったり、なかなかちゃんとしゃべれない。
へー、そんなことがあったんだ。色々大変なんだねえ。
主として聞き役に回りながら、1時間ばかり話し込んでしまった。
「そういうわけで、30万振り込むように」
なんてことはない。友達詐欺だったか。
友達なんていなかったことを思い出して、セーフ。
そういうわけで、事なきを得る。


   *

友達がほしかった。
けれども、作り方がわからなかった。
けれども、友達がやっぱりほしかった。
本当の友達が、ほしかった。
友達を、探した。誰が友達かわからずに、友達を探した。
自分から動かなければ見つけられないと思って。
自分から開かなければ開けないと思って。

「友達になってください」ある日、僕はイトウくんに言ったんだ。

「いいよ」
少し笑みを浮かべながら、イトウくんは、あっさりと、いいよと答えた。
友達を作るなどということは、いとも簡単なことであった。

「ありがとう」
うれしくて、うれしくて、友達ができてうれしくて、ありがとうと言った。
友達ができて、うれしくて、うれしいから自然と笑顔になった。

友達にはなったけど、イトウくんと一緒に遊ぶことはなかった。
しゃべることもほとんどなかった。
友達にはなったけど、友達は遠かった。
そして、だんだん友達は友達ではなくなった。
友達になったというだけで、安心したのがいけなかったか。
友達を作るなどということは、たいそう難しいことであった。

本当の友達にはなれなかった、イトウくん。
「いいよ」と言う、イトウくん。
今も、笑ったまま。



テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2008/10/03 02:16 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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