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猫の授業
今にもそれは
化学を学ぶ化け猫のように
けばけばしくなって

今にもそれは
雑学を学ぶ野良猫のように
優雅な仕草で

今にもそれは
語学を学ぶ三毛猫のように
世界を股にかけて

今にもそれは
帝王学を学ぶボス猫のように
胸を張って

今にもそれは
驚愕を学ぶ子猫のように
目を見開いて

今にもそれは
方角を学ぶ迷い猫のように
あちらこちらで

今にもそれは
あきらめを学ぶ老い猫のように
ゆったりと落ち着きながら

今にもそれは始まりそうだ
月夜の教室の中に
猫のチャイムが聴こえてきそうだ
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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/07/31 17:59 】 | 今にも詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
人気投票
「僕はそんなに素晴らしくないです」

黒板の上で
僕の名前が抗議の叫び

開票早々に
僕の名前の下に
一票 二票 三票……

 (このままだと一位になってしまうよ

 (悪い冗談はやめてください


驚きと焦りとその他の感情に
押し潰されて目を逸らす

僕は自分を見失い
やがて人からも見えなくなって
次々と
素晴らしい人の名前の中に
埋もれていった

いつものように
いつもの僕らしく

 (ようやく落ち着いて


81票を集めた片野くんが
僅差で一位になったけれど
決選投票になるという

早々とやってきて
ハラハラさせた三票は
最後までピクリともせず
僕は自分の低位置に納まった




どうして僕なんかに……、


不思議な三人を想いながら
胸の投票箱が
ポカポカと満たされる

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/07/29 12:31 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
告白
隅っこが好きだ。
両隣に人がいると、少し落ち着かない。
幸い、現住所は始発駅。
僕の座る席は、だいたい決まっている。

最初はガラガラの車内も、一駅毎に老若男女を飲み込む。
何時しか吊革には、大勢の人が下がり始める。
ドアが開き、また何人かの人が、
そして、一人のお婆さんが僕の斜めに……。

良いことをするのは、勇気がいる。
まるで、初めて告白する時のように。
(それが良くないことである可能性も少し考えて

急に鼓動は高まり、胸が苦しくなる。
(お婆さんだろうか、
(この人、
(本当に、本当にお婆さんだろうか?

その瞬間に集中して、僕はお婆さんを確認する。
白髪で、メガネを掛けたちょっと小柄なお婆さん。
(お婆さんだ、
(大丈夫、お婆さんだ。
(僕の目に狂いはない。
(僕は、伝えられる。

 「どうぞ……」
 スッと席を立ちながら、小声でつぶやく。

 「ありがとう!」
 意外に大きな声で、返事が返ってきた。

みんなの前で礼を言われて、僕は少し恥ずかしかった。
お婆さんに背を向け二、三歩だけ歩き、車内の真ん中に立っていた。
少し揺れて、少し足が震える。
携帯を開いて、見知らぬ誰かの詩に関心を向けている振りをする。
谷町九丁目。
次の駅で、僕はもうお別れだ。

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【2007/07/24 21:47 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
Let's Go 鼻毛
今日は
いつにも増して
伸びています

切っても切っても
伸びてくる
まるで命のように

そう言うとまた
少し伸びたみたいで
あなたは褒めると伸びる子ですね

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【2007/07/24 17:51 】 | 好きに書いた詩 | コメント(0) | トラックバック(0) |
118円
「写真とまたイメージが違いますね……」

そう言って微笑んだ表情は、黒傘を差した月のようにどこか遠くの方へ流れていくのだ。

 (決まってるじゃないか
 (同じなわけないじゃないか
 (写真通りなら写真でいいじゃないか
 (ずっと写真でいいじゃないか

      *      *      *

 (もう、会うことはないんだろうな

深夜のスーパーに漂流するようにたどり着いた。

 (あっ、同僚の鈴木くんに似た人がいる

再び振り返ると、紛れもない鈴木オリジナル。
けれども、何も見なかったように通り過ぎる。
足を引きずるようにして、歩いた。

「これはお酒です」

まるで英悟の教科書のように書いてある。
堂々とした紹介文が、何だか羨ましい……。

 (本当は、私もこうでなくちゃね。
 (明日は、私もこうでなくちゃね。

118円。
ひとつ、手に取って誓う。

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【2007/07/10 00:15 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
ホタルの光
光を見失わないように
明かりはつけなかった

飛んでいる
未確認飛行物体

きたよ
きた
あれが ホタル

猫のように緊張して
恐れながら
興奮しながら
手の中に拾った

懇願するように
握り締めた両手
そっと顔に近づける

逃がさないように
壊さないように
重ね合わせた親指を
ゆっくりと開いていく

  光る
    光る
      光る

たったひとりで
こんなに小さくても

  光る
    光る
      光る

これが いのち
これが ホタル

僕の手には
愛しく
余るもの


指を開くと
光は涼しそうに
夜を呼吸しながら
僕の手から離れていった


今と同じ名前の夏だった






終着駅の階段を上って
ひとり家路につく

ひときわ明るい場所から
蛍の光が
僕の耳へ入ってきた

もう別れの時間なのだ

毎日毎日
ひとは別れなければならない
今日を生きた自分と
出会ったもの失ったもの
すべてのものたちと

そうして心を切らなければ
新しい光を
受け止められないほど
ひとは弱い生き物なのだから

さよならの旋律は
僕の歩くスピードで
ゆっくりと
ゆっくりと
か細くなっていく


街は目映いネオンで溢れて



光のない夜


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【2007/07/08 11:00 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(1) |
寂しいパン屋
頭の上に
ちょこんと帽子

硝子の向こうの
人通り
今日はこんな天気だから
まあやっぱりこんなもの

トレイの上には
パンも疎ら
空っぽのトレイが
やたらと目立つ
こんな様子じゃ
誰も来るはずない

いつになれば
パンは焼き上がるのか
やきもきしながら
何もしない時が経つ

「いらっしゃいませ」

ありゃりゃ
迷い込んだ勇者が
来客のように訪れた

「どうぞゆっくり見ていってください
  まだ 何もありませんけれど……」

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【2007/07/07 09:32 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
忘れない杖
おじいさんは
よく杖を忘れる

転ばぬ先の杖なのに
いつも忘れて
30分も後になって
取りに戻って来る

杖は待たされることには
すっかり慣れているのだろう
今日も忠実な犬のように
じっとしたまま
おじいさんの帰りを待っている

もうすぐ
いつものように照れ笑いを浮かべながら
おじいさんは戻って来るだろう

いつも忘れるおじいさんは
思い出すことを
忘れたことがない

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/07/06 19:09 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
捨てる女
  捨てる女がやってくる
  捨てる女がやってくる

  いつも何かを捨てながら

         *

捨てる女が職場にいる時は、
そこら中がきれいになる。
片っ端から捨てて行くのだ。

明日のメニューの書かれたメモなど、
もう頭の中に書いたからと言って、捨ててしまう。
それは時々、チキンがポークに書き換えられたりするのだけれど。

もう捕まったからとか言って、
指名手配の写真なんかも、捨ててしまう。
本当はまだ逃亡中で、それは捜査妨害だったりするのだけれど。

もう使えないからと言って、
忘れ物の傘を、真っ二つに折って捨ててしまう。
それは本当は新品の傘だったりもするのだけれど。

捨てることは勇気のいることだ。
それをためらうことなく捨てることができるのは、
「捨てる女」だからだ。

捨てる女の部屋には何もない。
何もかもを捨ててしまったから。
引越しの準備なら、
寝ている間にできるだろう。

現代人なのに、もう、
携帯電話も捨ててしまった。

捨てる女が出て行った間に、
僕らはアクロスティックを完成させる。
今日のお題は「赤ちゃんポスト」。
価値がないとみなされて、
捨てられてしまう前に、
僕らは急がなければならない。


       *     *     *


    朝から今日も憂鬱に
    傘たちが発狂した色を競いながら
    縮こまったり開花したりするのは
    止んだり降ったり気まぐれ空のせい
    ポツリポツリと母親のつぶやきのように
    ストーリーはまだやはり朝の朝
    父さんもまだ出てきてない

           *

    愛を知る前に僕はひとりで
    回覧板のようにどこかへと流れる
    地球は狭いからまたどこかで会うかもね
    ヤングマンって僕のこと
    ポジションは変わり続けるものだから
    数年先に
    届く声もあるのかもしれない

           *

    浅はかな愛の行く末が
    形作った泣き虫
    小さくても消すことのできないもの
    病んでいるから私は
    ポイッとするんだ自分と
    捨ててしまうんだ自分の分身を
    永久に

           *

    ありふれた月曜日に
    回収された英雄は
    力強くその手を握り締めていた
    やんわりとした眼差しの横には
    ポエムが一つ添えられていて
    救われる
    時を願っているのだと


       *     *     *


捨てる女は、休憩中。
コンビニに向かう途中にも、
夏の花火の思い出を、
パラパラと捨てながら歩いて行った。
猫が、寂しそうに拾って夜の中に消えて行った。
きっと美しい花が咲くのだろう。


捨てる女はUFOからポロポロ涙を捨てながら、

「地球にはいらないものが多いな~」
とつぶやく。

3分間だけ耐えていた悲しみの結晶は、
捨てるためだけに用意された幾つもの小さな抜け道を通って、流れ落ちている。
突然、
銀の流し台が「ブォーン」と鳴いた。
地球が相槌を打ったような声だった。
捨てる女は、少しだけ驚いた。

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【2007/07/04 12:46 】 | できそこない道 | コメント(4) | トラックバック(0) |
マジシャンの願い
マジシャンは
いつも驚かせることが
好きだった

バーのカウンターの上に
カードを並べ
好きなカードを選ばせる

僕の選んだ秘密のカードは
こっそりとその他大勢のカードの中に
混じり合って見つかるはずもないのだけれど

マジシャンが指を鳴らすと
一枚だけが
待ってましたというように
顔を上げて
ふわふわと宙に浮き始める

ハートのクイーンは
見つけられたことが
嬉しくて浮きながら泣いていた

涙はサラサラとした砂で
マジシャンはそれを時計に詰めて
砂時計を作り始めるのだけれど

クイーンの涙が止まらなかったので
それは時の中には入りきれず
たちまち辺りは砂漠になった

ラクダの商人もいない砂漠
こんなところに取り残されてしまったら
奇跡を祈るしかないのかもしれない

月を見つめていたら

マジシャンは涼しい顔をして
砂漠をミウラ折りに折りたたんで
ポケットに仕舞い込んでしまった

どうなってるの
そのポケットは

僕はいつも
タネを知りたくて
むきになってしまう

そんな時
マジシャンは
少し不機嫌になる

まず 驚けばいいでしょ
そんなことを言いながら

カウンターの上に
また
カードを並べ始める

少し砂っぽくて
僕は
目をぱちくりとさせた

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【2007/07/02 19:38 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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