|
すっかり沈ませてしまったのは
僕のせいですね ここに来た時 透明な宇宙の中で あなたは一寸法師のように 何の心配もなく浮いていたのに 僕が欲望を吸い上げる度 あなたは一ミリごとに降下していき 今ではもう目に見えて 沈み切っています あなたの周りに 纏わり付いている宝石たちを 時がもうすぐ幻のように溶かし切ったら あなたは底へ落ち着くでしょう 僕はキラキラかき混ぜて それをお手伝いするのです とても苦しそうだから |
|
|
|
木に寄りかかってまどろんでいると
年輪の中から物語が現れて 話しかけてきた 何も言わない存在感が 木だと思い込んでいたので 少し変な気がしたけど 気がつくとついつい聴き込んでしまった ひとりの人間が聞くにはあまりにも長い まともにつき合っていると あっという間に一生が終わってしまいそうなので 笑い所を見つけて拍手しながら逃げ帰った 寄りかかっておいて 少し悪いことをしたと思う |
|
|
|
少しの時間だけ
自分を殺して生きれば 未来は闇の金利のように 自分にお返しをくれる 潮風に乗って 彼女の言葉が 微笑みを引きずりながら踊る そしたら 何だって手に入る 耐えたてきた 月日以外のものならね 穏やかな波が打ち寄せて 時の砂を運んで逃げていく 少しの時間って 未来って 僕の質問は 海辺のオーケストラによって 美しく打ち消された セピアの貝殻を開くように 小さな手が携帯を拾うと 彼女の手の中に 世界が すっぽりと納まっていた |
|
|
|
最愛の人を出迎えるような
それが自分にだけ向けられるものでないとしても 男はその笑顔に逢うことが嬉しかった 帰り道を少し回り道して 少しの体力を消費して男は日々自分を運ぶ ゆっくりと太陽が落ちていく美しい時間 その訪れが嬉しかった 店員さんも 足早に夜に接近する夕暮れの時間 その訪れを待ち焦がれていた もうすぐここから離れられる やっと自分が解放される それは長い一日の中で 最も幸福な時間だった |
|
|
|
忘れられた商店街のように
沈黙の罪に追われるまま 僕は白い海に逃げて キラキラ寒天を透かすように 閉じ込められたノートの中から 外の世界を見ていた 主張するキウイのように 一ページ一ページに僕はいて いつも世界に向けて開かれている キラキラとモノクロの抱擁 外の世界にいた時と正反対に 行と行に挟まれている時でさえ 僕は無限のおしゃべりになれた |
|
|
|
| ホーム |
|

