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こんな雨の日は
あいにくの青空だった
昨日はもう遥か過去の風景で
今日は絶好の雨降り空

傘を差さない勇者は
銀の斜線を避けることもなく
颯爽としているけれど
僕の手元には
どうでもいい傘の柄が納まっている

こんな雨の日は
一日が
夜に憧れた色によって支配される

ささやかな盾が
憂いの一粒一粒を弾き返すたびに
この世界にはない雨たちが
僕の中に浸透していき
家族連れが団欒を連れ歩く時に
僕は
何も見えなくなりそうな空の上に
猫を描かなければならない

失った夜の方向から
夕焼けの匂いのする風が流れる

もしかすると
僕の手に握られている
今それは
遥か昔に
折れてしまった傘なのかもしれない

こんな雨の日は


夜の訪れを知らない
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テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/22 21:52 】 | できそこない道 | コメント(4) | トラックバック(0) |
向かい風
夜に向かっていくように
厚さを増していく雲は
いつも世界の終わりを予感させる

人は空を突き抜けて探求の旅を始めたが
自然の大きさは変わらない
やがて押し寄せる波の中にすべては
飲み込まれてしまうのかもしれない
それともいつか雲の表情までも
手に入れてしまう日は来るのだろうか

交差点を急ぐ足たちが
忙しなく行き交っている
それはあたかも
本能的に
脅威の接近を悟っている動物のように
無表情だった

歩道の上
突風に煽られて
帽子が飛ばされるのが見えた

すぐに止まると
二、三歩引き返して腰を折り
子猫を拾い上げるように
帽子を拾い上げた
初老の紳士らしき男は
自転車に戻ると
再びしっかりと
両手で念を押すように
第二の頭を取り付けるようにして
帽子をセットした

予断を許さない風の中では
また同じように攫われるかもしれないし
賢者の仕草には見えなかったのだが

そこには
強い意志のようなものが
見て取れた

再び力強く
自転車は
風に向かって動き出した

世界はまだ終わらない

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/20 19:22 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
宇宙人ヘルプ
階段を上って歩き出したところで
宇宙人が迫って来たので
知らん振りして逃げた

新しいメッセージに
気を取られて歩いていると
電柱の影から宇宙人の手が伸びて
危うく誘拐されるところだった

交差点の真中で
ついに宇宙人に取り囲まれたので
私は真っ直ぐなロケットになって
家まで飛んで帰った

彼らは
明らかに宇宙人だった

言葉がひとつも通じなかったし
耳がやたらと大きかったし
頭もみんなスキンヘッドだったのだから

なぜ私を狙うのだろう
確かに 私のあだ名が
宇宙人だったこともあるけれど

今日はもう外に出ることはやめて
自分の世界に閉じこもることにする

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/19 19:58 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
雨夜のスープ
既に雲行きは怪しかったのだが
頼もしい人たちは
それなりに集合した

夜が深まるにつれ
心配は真実味を増すように
確かに地上に近づく

試合が始まり
五分を経過する頃になると
突然スコールのような激しさとなり
もう敵味方の関係もなく
ただおかしく交わるのだった

洪水のピッチで
最初の試合は終わり
屋根のある安全地帯で休戦する

ひどい目に遭った
来るんじゃなかった
などと言う
みんなの目は笑っていて

ずぶ濡れの頭を
タオルで拭いながら
スタッフが用意してくれた
温かいスープに
僕も手を伸ばす

紙コップに注がれた
インスタントのコンソメスープ

それがまた
ひどく美味いのだった

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/18 01:32 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
レモン
すっかり沈ませてしまったのは
僕のせいですね

ここに来た時
透明な宇宙の中で
あなたは一寸法師のように
何の心配もなく浮いていたのに

僕が欲望を吸い上げる度
あなたは一ミリごとに降下していき
今ではもう目に見えて
沈み切っています

あなたの周りに
纏わり付いている宝石たちを
時がもうすぐ幻のように溶かし切ったら

あなたは底へ落ち着くでしょう

僕はキラキラかき混ぜて
それをお手伝いするのです

とても苦しそうだから

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/17 23:38 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
きみに贈る言葉
小さな言葉で
なぜそんなに
大きく傷つくの

単語が切れるほど
尖っているから

ひとつの言葉で
なぜそんなにも
たくさん傷つくの

受け取るきみがひとで
送る相手もひとだから


単純に選び取って
投げ放たれた
無機質な音階に
傷つかなければならないのは

言葉の向こうに
ひとを想う時

ひとつの言葉の周辺で
無数の悪意が歌うのが
聞こえてしまうから

言葉の裏にある心が
痛々しくて
しかたないから






どうしようもないほど




傷つくがいい
傷つけるだけ
傷ついたあと
殺意にも似た感情を
抱いた時に
思い出すがいい
それを宥めるのも薄めるのも
言葉たちであることを



忘れるな

罵られた言葉の向こうに
励ましの言葉が
ひとつ ひとつ
優しかったこと 
優しかったこと

心無い言葉の向こうで
幾つもの言葉が
あの時 きみを
勇気づけたこと
助け出したこと



だからきみは
立ち直るはず


だからきみは
立ち向かえるはず



だからきみは


だからきみは



大丈夫




もう


見失わないはず





加担すべき方向を

テーマ:誰かへ伝える言葉 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/15 19:18 】 | 好きに書いた詩 | コメント(2) | トラックバック(0) |
水筒
地面から茎を引っ張り出すように
少年はリュックの中から
長細い水筒を取り出した
他の人たちがペットボトルを
口々にがぶ飲みする中

ゆっくりと水筒の口を開けて
慎重に抱えながら傾けた
ジュースでもスポーツ飲料でもない
お婆さんの作ってくれた
麦茶だ

空気と混じりながら
外の世界に飛び出してくると
コップの底を小気味よく叩き
木漏れ日に射されて微妙に
揺れながら輝きながら
少年の鼻先でほのかに香った
注がれる時の勢いや角度から
残された泉の深さを想いながら
一滴も零さないように
口に運んだ

日が暮れるまで
何度も何度もその動作を繰り返して
バスの中で
ついにそれは底を打った

帰り道
少年の背中では
空っぽになった水筒が
まだ一緒に揺れながら歩いていた

それは他の人と比べれば
何百グラムかは
重たかっただろうけれど

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/13 21:22 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
巨木
春はどこまでも春だった
歩くほどに僕の中に
春が満ちてくる

ここがどこだとか
そんなことは問題じゃない
どこもかしこも春なのだから

なのに
この木はどうしてこんなに
裸だろう

まるで巨大なトナカイが
打ち首にあって吊るされているような
あるいは
尽きたはずの線香花火が
空に向かって訴えを起こしたような
巨木が
春の横道に並んでいる

この寂しい様は
どこかで生き別れた冬を
おぼろげな呼び名となった友を思わせる

それは
ピースサインをしながら焼きついてしまった
亡霊のようにもみえたのだ

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/11 01:09 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
乗り継ぎ
一番端をゆっくりと歩く
そうして近づけば
線路の微妙な曲線がみえる

疎らな待ち人が物語るように
電車は過ぎ去ったばかりだ

少し遅れて来たせいで
僕は駆け込む人にも
乗り遅れる人にもならずにすんだ
ゆっくりと遅れて僕に追いついてくる
次世代の電車に乗ればいい

人々が
自分の立ち位置を
それぞれの理由で
それぞれの気分で
選択して
訪れる乗り物を待つ

いつもの朝のような
見慣れた光景の中
ぶつからないように
落ちないように
一番端を歩いている

いつも同じようでありながら
全く同じ形はない

世代を乗り継いで進み続ける
物語のように揺れながら

もうすぐ僕も運ばれていくのだ


どこかへ

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/10 00:17 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
樹齢
木に寄りかかってまどろんでいると
年輪の中から物語が現れて
話しかけてきた

何も言わない存在感が
木だと思い込んでいたので
少し変な気がしたけど
気がつくとついつい聴き込んでしまった

ひとりの人間が聞くにはあまりにも長い
まともにつき合っていると
あっという間に一生が終わってしまいそうなので
笑い所を見つけて拍手しながら逃げ帰った

寄りかかっておいて
少し悪いことをしたと思う

テーマ: - ジャンル:小説・文学

【2007/04/09 23:38 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
手の中にあるもの
少しの時間だけ
自分を殺して生きれば
未来は闇の金利のように
自分にお返しをくれる

潮風に乗って
彼女の言葉が
微笑みを引きずりながら踊る

そしたら
何だって手に入る
耐えたてきた
月日以外のものならね

穏やかな波が打ち寄せて
時の砂を運んで逃げていく

少しの時間って
未来って

僕の質問は
海辺のオーケストラによって
美しく打ち消された

セピアの貝殻を開くように
小さな手が携帯を拾うと

彼女の手の中に
世界が
すっぽりと納まっていた

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/08 19:02 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
笑顔の行方
最愛の人を出迎えるような
それが自分にだけ向けられるものでないとしても
男はその笑顔に逢うことが嬉しかった

帰り道を少し回り道して
少しの体力を消費して男は日々自分を運ぶ
ゆっくりと太陽が落ちていく美しい時間
その訪れが嬉しかった

店員さんも
足早に夜に接近する夕暮れの時間
その訪れを待ち焦がれていた
もうすぐここから離れられる
やっと自分が解放される

それは長い一日の中で
最も幸福な時間だった

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/06 21:23 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
モーニング
物心つかない言葉のように
まだぼんやり
何も始まっていない時間
古びた扉を開けば

お婆はカウンターの上に
年輪の刻まれた美しい手を乗せて
今から安っぽい手品でも始まるように
微笑を噛み潰している

まだ何も整っていないし
まだ誰も来てもいないけど
それでも何かを食わせてやろう

お婆の言葉に甘えるように
少しの温もりと燃料にありつけば
ささやかではあるけれど
空っぽの自分にはちょうどいい

僅かな選択肢から
僕の選んだゆでたまごは
とても白くて まだ無傷だった

中から現れるものが何であるのか
僕はまだ 何も知り得なかった

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/05 08:05 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
おしゃべり
忘れられた商店街のように
沈黙の罪に追われるまま
僕は白い海に逃げて

キラキラ寒天を透かすように
閉じ込められたノートの中から
外の世界を見ていた

主張するキウイのように
一ページ一ページに僕はいて
いつも世界に向けて開かれている

キラキラとモノクロの抱擁
外の世界にいた時と正反対に
行と行に挟まれている時でさえ
僕は無限のおしゃべりになれた

テーマ: - ジャンル:小説・文学

【2007/04/04 00:51 】 | できそこない道 | コメント(2) | トラックバック(0) |
申し訳ありません
筆箱の中で煙草を吸っていたら
ボコボコにされた
零れてきたのは涙ではなく
人並みに木の葉だった

  *

雪焼けしたマラソンランナーは
言い訳もせずに夜の街道を駆けた
春の雪だるまが邪魔をしようと
軽石を取って投げつけたけれど
それはとっても重そうで
それはとってもだるそうで
そんなことしていいわけもない

  *

荷物を仕分けしている一日
手に刻まれた皺の数は
作業スピードに比例しない
礼儀を知らない奴が増えたと
いつかの老人のようにぼやく
約束の期限はすぎている
そこで一休み

  *

申し訳ありません

という時
いつも笑みが零れてしまう

自分がまるで
接客をしているようで

そうだ
わたしはそれをしている

いつからか

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/03 07:32 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
世界一周
重要でないポケットティッシュのように
僕のポケットの中には当たりくじが入っている

凍りつくほど寒い気分だったので
アイスなんていらないやと
今にも捨てようとするところだったけれど

どうせだったらおばちゃんにあげてもいい
おばちゃんの喜ぶ顔が目に浮かんできて
あんまりおいしそうにアイスを食べるので
僕は自分も食べたいと思って
当たりくじを宝物のように握りしめていた

おばちゃんごめんね
結局 僕は
自分のために使うよ

自分から捨てそうになる時に
無言の笑顔で
僕を呼び戻してくれるのが
おばちゃんなのだった

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/02 20:01 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
自転車泥棒
僕の友達
どこにも
連れて行かないで

名札はなくても
もうひとりの僕だよ

冷たい金属の中でも
僕だけが
見分けられる

だから
勝手に
連れて行かないで


僕の友達
どこにも
去って行かないで

名前は違っても
もうひとりの僕だよ

錆びついたガラクタに
映るものが
僕のハートだよ

だから
勝手に
消えて行かないで


ねえ 僕の友達
ずっと 一緒じゃなかったの

僕の見てない場所で
ひとりで
答えを出さないで

僕は
忘れていた
わけじゃないのに


ねえ 僕の友達

僕を置いて
どこにも行かないで

もう ひとりで

遠くに
走り出さないで


僕の友達

どうか もう

僕を 


当惑させないで

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2007/04/01 08:23 】 | 好きに書いた詩 | コメント(0) | トラックバック(1) |
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