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待って
漫画ばかり広げているのなら
もう閉じてしまうよ
弁当箱は蓋をして
ぶるるんと走り出してしまう

「待ってください」

弁当箱は急停止
その場で黙って蓋を開いた

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【2010/09/01 00:31 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
点火
葱の端っこはどこまで落とす?
などと野菜を切り始めた
次には
さざえを刺身にと切り出した

入門書を一読した次にはもう
世界一になろうとする男

玉葱もピーマンも切ったことはなかったが
つづいては
イカを切ろうとしている

【2010/08/31 23:05 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
旅立ち
「陸上をテーマにした本ってありますか?」
少年は小さな声で訊く

「それはお話でしょうか?」
「特に誰の作品とかございますか?」

女は旅に出た
少年はそこを動かずに
信じて女を待った

女はたくさんの本を抱えて戻ってきたが
そこに少年の姿を見つけることはできなかった

少年は待ちきれず
ひとりで歩き出すことを選んだ

【2010/08/29 20:53 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
銅像
ドアの向こうでは
子象が座り込んで
バナナを食べている

おかあさんは無関心に
バンズを食べている

ドアが開いて入ってくる人々は
子象の横を半身になってすり抜けていく
誰も何も言わない

子象は人々の足音に脅威を覚えなかったし
人々は銅像を避けるように回り歩いた

おかあさんはバンズを食べている


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/08/28 17:28 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
タイムスリップ
セーターの長い袖を抜けて
恋愛感情をを行き過ぎたところ僕は
少し滑りすぎてしまった

「すみません。ここはどこですか?」

あなたは誰かに似ていると
天狗の単語でつながる会話の果て
リンゴの転がる人形の街並みを描く
記憶の飛行機が風穴を潜っていくその心
種のようにドロドロで花のようにボロボロで

つきませんか
とうとう つきました

ただならぬ静かな鐘が

そうですか
4月の中旬ですか
道理でとてもあたたかい

愛する人は
いつまでも
11月の終わりにいます

【2010/08/02 14:56 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
閉鎖の知らせ
遠ざかっていくバイクの音
それっきり静寂が続く

もしもあのバイクが世界ならば
世界はどこまでも遠くへ行ってしまった

街のホットステーションは店を畳み
向かいに陣取る
街のホットステーション+100が残った

新しい何かがやってくるまで

街は灯りをひとつ消しただけで

幽霊が散歩する道


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2010/02/13 08:46 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
運命

古本屋の軒先で
しばらく背中を
見つめていた

手に取れないのは
今は傘を持っているから
魅力的なタイトルに惹かれながら
青信号が

歩き出す
12月 風の強い朝
雫の垂れる傘を見上げると
骨が一本突き出している

編みかけのセーターに
刺さったままの針のように

疲れた
マンションのゴミ捨て場の前に
神様が立っていなければ
捨てた

傘は部屋の中にある
昔はゴミ箱だった
今は傘立ての中に

【2009/09/21 13:44 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
硝子
あまりにも透明で
何もないみたいに
硝子
私の横にあった

カーテンの紐が
首の回りにぶら下がって
死を想わせた

私は死んでいた
または生まれなかった

なぜか少し 気楽にもならないかい

私は硝子を通り越して 歩き出す

自転車が
私の あまりに近くをかすめて消えていく

まるで私も

いなかったよう


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2009/07/06 22:22 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
手洗い
洗面所の中には
幾つもの千切り取った
三角が散らばっている

 あなたはいつも
 隅っこが好きだったから
 好きで集めているのね

いいえ先生
僕は好きで髪を伸ばした
ことなど一度もありません
自然のままになっていただけ

 無駄に長い前髪を
 わざわざ切ってあげたのに
 あなたは未だに何も
 役に立たないことを書いているのね

いいえ先生
余計なことを書かなくていいから
僕はこうして書くことができるのです


白い壁に夕焼けがかかり
いちご焼けしていた
それはついさっきまでのこと
まるで幻だったかのように外は白く
そしてこれから急速に黒へと染まっていくだろう
変換キーを押したままキミは動かなくなった
だから僕は待つことに決めた


しるしに沿って千切り取った
三角がわけもなく落ちている

僕はまた拾い集めない

テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2009/02/23 16:05 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
幻の家 
窓の外を眺めていると
おばあさんの家が見えた

木があり池があり
坂の上に一軒
あれがおばあさんの家

トンネルを抜けると
おばあさんの家が見えた

犬がいて魚がいて
広い倉庫があって
あれがおばあさんの家

今すぐタイムスリップして
飛んでいけたなら
コロにも逢えるのに

気がつくと眠ってしまっていた

窓の向こうを眺めると
おばあさんの家が見えた

二階の大きな窓が開いている
裏に回れば小さな川が流れている
あれがおばあさんの家だ


何度も繰り返し
いくつもの
おばあさんの家を見た

そして
突然それは見えなくなった



終着駅が
近づき


テーマ:自作詩 - ジャンル:小説・文学

【2009/02/04 01:22 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
イカを裂く
最後の月に入ると
イカを裂くことが増えた

山と積まれた箱の中には
長い間閉じ込められていた
イカイカが眠っている

捜査員が証拠の品を押収するように
一つ一つ大切に運んできては
箱の中の闇を開放する

束になったイカをほどくと
イカの上には
昔の人の名前が書いてある

イカを手で裂くのは
なかなか骨が折れる
甘くみては手を切ってしまう

イカで手を切ると
はじめ薄っすらと線が走り
後から鈍い痛みと血が追いかけてくる

「これは誰かな?」

「こんな人もいましたね」

懐かしい名前が立ち現れると
ふとイカを裂く手が止まる

夜の間ずっとイカを裂いている
二つに裂いたり三つに裂いたりする
裂いても裂いてもイカはなくならない

しばらくの間 イカを裂く仕事は続きそうだ

世間では
イカさきくんという機械も当たり前にあるようだが
あえてそれは口にしない

私たちの手先は

従順


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【2009/02/02 01:38 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
ひとつき
頭が痛い
と思って上をみると
黒い文字が覆い被さっている

時の流れが
引き寄せた言葉の雲

明日が見たければ
自分で自分の言葉を書き始めなさい

蟻が小さな声で歌っていた


今日のままきっと

誰も困らない


テーマ: - ジャンル:小説・文学

【2009/02/01 12:12 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
通過駅
ドアの前であなたは謝っている
深く深く頭を下げている

僕も頭を下げた
理由のわからないあなたの謝りに
ただしきたりのように

下げている頭を忘れるくらいになって
頭を上げると
それでもあなたは謝っている

あなたが謝っているおかげで
ドアはいつまでも開いたままだ

もう広島駅を過ぎてしまった


ごめんなさい 姉さん やっぱり降りれんかった

途中下車 できんかった


姫路駅に着く頃 やっぱり悪い気がしてきた
だんだんと遠く離れるほど悪い気がしてきた

あなたもまだ謝っている

早く ドアを閉めてくれないだろうか


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【2008/12/12 19:31 】 | できそこない道 | コメント(4) | トラックバック(0) |
落ち着かない家   
普通の家だというのに
入り口には暖簾がかかっている

なぜか完全に閉まることのない
ドアの隙間から子供たちが入り込んできて
しきりに何かを取っていく

家の中を歩いていると
いつの間にか外に出ていることがあるし
お手洗いなんかは外から丸見えだ

とんでもないところに
引っ越してきてしまった

中身も見ずに 決めるから


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【2008/12/03 17:25 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
おじいちゃん
おじいちゃん

誰かの呼ぶ声が聞こえる

もう、おじいちゃんなの

いつまでたっても
父は父なのに

おじいちゃん

おじいちゃんは遠くにいる
ずっとずっと、遠くに
ノーベル賞をとった人のように
笑ったり、泣いたりしている

いつまでたっても
僕は子供なのに

父は、小さくなってゆく

ずっと、遠くで








誰かが、呼ぶ声がする





おじいちゃん



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【2008/11/11 00:14 】 | できそこない道 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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