はじまり
「なぜ、ゴールが遠いんでしょう?」

「人が守っているからだよ。
 誰かの守りたいという気持ちが、
 キミを遠ざけているんだね」


   *

「なぜ、ゴールが見えなくなるんでしょう?」

「キミが安心しすぎているからだよ。
 いつもあると思って、
 ちゃんと見ていないから」


   *

「なぜ、ゴールへの道が開けないんでしょう?」

「キミがちっとも心を開かないからだよ。
 チームメートの名前を
 一度でも呼んだことがあるかい?」


   *

「なぜ、ゴールが逃げていくんでしょう?」

「ゴールはいつも逃げているんだよ。
 あらゆるものがそうであるようにね。
 だから、キミは追いかけるしかないんだ」


   *

「どうして、ゴールは遠いんでしょう?」

「キミがいつまでも、見失わないためだよ。
 ずっと、ずっと、ずっと先まで、ずーっと……
 探し続けるのが、ゴールなんだよ」




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【2008/07/03】  この記事のURL | できそこない道 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
静かな訪問者
今日は色んなことがあった

ヤクザとヤクザがにらみ合って
その間に食べ残った豚カツが
すっかり冷えた厚揚げがあって
酔って弾けた勢いがあって

ヤクザとヤクザはエレベーターの中で
夏のオリンピックを目指していたけれど
激しい振動の中で突然一人が落ちて
けれどもドアが開くとすぐに起きて

真剣な眼差しの新喜劇のようで
触れ合い動物園での大相撲のようで
否応なしに僕らも参加者に含まれていたんだ

使う気のない剣や斧を振り上げて
すぐに 武器よさらば
「さあ、こいやー」
「おまえが、こい」
身構えて言葉を投げ合っていると
ついに来たのは街のお巡りさんで

名前を呼ばれて
元気に返事をしたもんだから
ヤクザは壷の中に吸いこまれてしまって
すっかり何もなかったように静かな夜になった

それから雨が降って
ジャズが鳴って
10年ぶりの知らない人と
久しぶりの友人が訪ねてきて
どうでもいいおしゃべりがうまくなったけれど
本当に言いたいことが言えなくなってしまった

今日は色んなことがあった

だから映画のような人生のような
2時間を少しだけ思い出していた

自動ドアの前で
立ったまま眠っている人がいる
まるで門番のよう
一体あなたは何を守っている

また誰かがやってきて
番人に演説を始めた
雨の中を
身振り手振りを交えながら熱心に
微動だにすることのない夢見る門番に
向かい

伝える相手は あるいは場所は
あっているのだろうか



今日は色んなことがあった

なのに何も 話し出せない



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【2008/07/01】  この記事のURL | できそこない道 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
茄子
最初に食べた茄子は

きっと腐っていたんだと思う

平気になるまでかかった

長い長い時間

口惜しい時間


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【2008/06/25】  この記事のURL | だいたい5行詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
正解探し
キミの言葉
違うんだって
正しくないんだって

正しいって
何だった
さあ、ね

でも、僕
わかるよ 
キミの言葉

でも、僕
好きだよ
キミのこと


キミの歌


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【2008/06/24】  この記事のURL | 好きに書いた詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
ナベアツの時代
バナナも

チーズも

アンパンも

3になってしまった

アホになれるとばかりに



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【2008/06/23】  この記事のURL | だいたい5行詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
簡単な質問/難しい答え
はいかいいえではなく

自分の好きに答えられるというのに

なぜか重たくなるのはなぜだろう

「趣味は何ですか?」

一番好きなものは簡単には言えない


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【2008/06/18】  この記事のURL | だいたい5行詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
4400子守唄
眠れない夜は

過去の筋書きなんか忘れて

『4400』を見つめていよう

何だかわからないうちに……

ああ、確かに  特殊能力だよ


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【2008/06/17】  この記事のURL | だいたい5行詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
さよならゲーム
2回裏のピッチャーゴロの間に
パパとママは結婚して
間もなく生まれた僕が
パパとママの間で眠っていたのは
ほんの短い間だったけれど
パパの肩の上の高さ
ママの子守唄の優しさ
僕はちゃんと
憶えているんだ

きっと二人の間には
幼い僕が知ることのできない
たくさんたくさんの
ピンチが転がっていて
その全てから逃れることは
できなかったんだ

あっという間に 
ゲームは
9回裏
2アウト2塁3塁

僕はひとり
さよならのチャンスを眺めている

キャッチャーが
立ち上がった

ああ
やっぱり
歩かされるんだね



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【2008/06/03】  この記事のURL | できそこない道 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
いじめじゃないよね
いじめじゃないよね
たまたまだよね
僕たち仲良いよね

いじめじゃないよね
まさかキミまで
僕を攻撃しないよね

いじめじゃないよね
勢い余って
椅子が飛んでしまったんだよね
そしたら偶然
僕の足の上に落ちて
小指の爪の先から赤い何かが
流れてきただけだよね

だから
いじめじゃないよね

いじめじゃないよね


ほらキミは
こんなに笑ってる



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【2008/06/01】  この記事のURL | 好きに書いた詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
エレベーターボーイ
「忙しいから上がってきて」

僕はタコのように駆け上がる

「忙しいから下りてきて」

僕はタコのように駆け下りる

燃え落ちていく


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【2008/05/29】  この記事のURL | だいたい5行詩 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
僕と知らない人
僕が知らない人だから

僕が知らないことをたくさん話した

僕はそろそろ黙らなければならない

僕が話せたのは

僕を知らない人だったから


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【2008/05/27】  この記事のURL | だいたい5行詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
過去の形
「このままでよろしかったでしょうか?」

いいえ

あなたに会うのは初めてです

はい

きっと、そのままで


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【2008/05/24】  この記事のURL | だいたい5行詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
誰でもよかった
僕の手紙を
誰かに開いてほしかったのです
心の届く相手なら
誰でもよかったのです


*


お姫様は
最初の男を無視し
2番目の男を追い返して
3番目の男を迷わず選びました
そうして結婚して幸せになりました
本に書いてあったのです
ハッピーエンドになることが
最初から決まっていたのです


*


19時30分に
そこにいたという理由で
若者は
死ななければならなりませんでした

「誰でもよかった」

人間が言いました



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【2008/05/19】  この記事のURL | できそこない道 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
横殴り
キミと一緒に買った
青い傘を
容赦なく貫いていく
4日前の雲から降り注いでくる
雨が
僕を
横殴りにして弄んでいる

今さら
さしているものは
どこを向いても方向違いだ

4日前に気づくこともなく
笑っていたからだ
100年前の女に
思いっきり殴られて

跳ね返す場所は
ここにはない


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【2008/05/13】  この記事のURL | できそこない道 | CM(0) | TB(1) | ▲ top
空色
雨は

もう降り始めている

まだ届いてはいないけれど

僕は見てるんだ

あなたの空色を



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【2008/05/12】  この記事のURL | だいたい5行詩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
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